人生の最終段階に差し掛かると、本人の気持ちとは関係なく、周囲の対応が変化していきやすいものです。終末期の利用者はどのような状況に置かれることが多いか、一般的な傾向を知っておきましょう。
まわりの人からアドバイスを受けることが多くなる
終末期に入ると、以前と比べてできないことが増えていくもの。それに伴い、自分が自分でなくなるような不安を抱えていることが多くなります。必要なケアも増加し、誰かの助けを得ながら生活することに。そのため、必然的に「〇〇した方がいいですよ」「△△は避けましょう」などとアドバイスをされ、時にはまわりだけでいろいろなことを決められてしまうこともあります。
【でも…】「自分の意見や話も聴いてほしい」と思っていることが多い!
ネガティブなことを口にすると励まされがち
死を意識することも増え、精神的な苦痛を感じ、落ち込んだりイライラしたりする利用者は少なくありません。ところが、不安や葛藤から「早く死にたい」「もうどうでもいい」など、ネガティブな発言をすると、「そんなこと言わないでもう少し頑張りましょう」「そんなことないですよ」といった言葉をかけられるケースが多いものです。
【でも…】安易な励ましは利用者のつらい気持ちには通用しない。時には、死について話し合いたいと思っていることも!
体調や病気に関する話題が中心になる
「今日の体調はいかがですか?」「痛みや気分の変化はありませんか?」などと聞かれる機会が自然と増えます。医療職からはもちろんのこと、家族など、身近な人ともそのような会話が増えていき、体調や病気以外について話す機会が少なくなりがちです。
【でも…】趣味についての話やたわいない会話を望んでいることが!
本誌では、利⽤者を⽀援するためにどうすべきかを学ぶ前に、考え、話し合う具体的な⽅法を紹介しています。
監修/⼤井裕⼦
医学博⼠。社会福祉法⼈聖ヨハネ会桜町病院 在宅診療部⻑・ホスピス科常勤医師。広島⼤学医学部客員准教授。出⾝地である広島県で「はつかいち 暮らしと看取りのサポーター」代表としても活動。著書に『〈暮らしの中の看取り〉準備講座』( 中外医学社)がある。取材・⽂/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/中村知史