緊急時対応の際は、慌てず、冷静に対応することが大切です。そして、必要な情報をしっかり伝えられるかどうかも、とても重要です。サービスに入る前に緊急時を想定して準備しておくことで、いざというときに慌てることなく、介護職として求められる行動をとることができます。とはいえ、介護職は「医療」のプロではありません。そんなとき、頼りになるのが医療職、特にかかりつけ医です。
かかりつけ医との連携による緊急時への備え
かかりつけ医は、いわゆる「紹介状」と呼ばれる「診療情報提供書」を作成します。この書類は、原則、かかりつけ医と搬送先の病院との間でやり取りされるものなので、ホームヘルパーをはじめとする介護職にとってなじみのないものです。
しかし、救急車を呼んだ際、救急隊員に利用者の情報を伝えることは、本誌23ページで解説しました。そのとき、利用者の既往歴などがわかる書類を事前に用意できていれば、時間短縮にもつながりますし、より詳細な情報を伝えることができます。
そのためにも、本誌25ページのような利用者情報カードを、初めてサービスを提供する前に作成しておくとよいでしょう。作成の際には、かかりつけ医が相談に乗ってくれるはずです。
診療情報提供書
患者からの依頼や医師が必要と判断した場合に作成され、医療機関が患者情報を共有することを目的としている。既往歴や持病の症状、治療経過、検査結果、現在の処方状況などが記載されている。
本誌では、作っておきたい利⽤者情報カードも紹介しています。
監修/髙瀬義昌
医療法⼈社団 ⾄髙会 たかせクリニック 理事⻑。⽇本⽼年精神医学会専⾨医。認知症サポート医。信州⼤学医学部卒業。東京医科⼤学⼤学院修了、医学博⼠。昭和⼤学客員教授。⿇酔科、⼩児科を経て、2004年東京都⼤⽥区に在宅を中⼼とした「たかせクリニック」を開業。現在、在宅医療における⾼齢者医療、認知症のスペシャリストとして厚⽣労働省の⾼齢者医薬品適正使⽤事業や東京都⼤⽥区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務める。イラスト/しまだ・ひろみ