介護職の役割は、利用者の尊厳を擁護しながら、その自立を支援すること。そのために、法令遵守に加えて求められるのが、高い職業倫理です。
まずは「利用者を1人の人間として捉える」こと
ホームヘルパーとしてケアを提供していると、利用者へ物理的に手助けを“してあげる”立場になる場面が多くなります。だからといって、自分が利用者よりも優位に立っているように錯覚し、上からものを言うような姿勢は許されません。ましてや、利用者をモノのように扱うなど論外です。
どんな状態にある利用者であっても、人間として対等な存在であることには変わりありません。利用者を1人の人間として捉え、その生活を守るためにどんな支援ができるかという発想で常に行動することが、職業倫理を守ること、ひいては利用者の尊厳を守ることにつながります。
「3つの立場」に立って考える
「自分の生活に置き換えて考える」習慣をつけてみましょう。より多角的な視野を持つための訓練になります。利用者・ホームヘルパー・第三者という3つの異なる立場から、業務の場面を振り返ってみる方法がお勧めです。
本誌では3つの立場に立った考え方を図解しています。
監修/柏瀬美奈子
ヒューマンライフケア株式会社・人事部 育成担当 ジュニアマネジャー。介護福祉士。施設介護、通所介護、訪問介護などの職を経て、人材育成、資格講座の講師を担当。2013年より現職に就き、研修企画、業務開発などに従事。これから「介護」を目指す人の熱い想いを支え、その教育・研修を提供することで、地域・社会への貢献を果たしている。取材・文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/しまだ・ひろみ