「燃え尽き症候群」という言葉を聞いたことはありますか? 仕事など何かに一生懸命に取り組んだものの、結果や評価が得られず、続けることに不安ややるせなさを感じてしまう状態などを指します。とりわけ訪問介護を含めた介護職員には「燃え尽き症候群」が多いと言われています。
その理由として、特に高齢者介護の場合、地道に支援を続けていても、何かが劇的に改善されるわけではなく、それどころか、場合によっては利用者が徐々に弱っていき、息を引き取ることも珍しくはありません。「一体、自分は何のために働いているのだろう……」という気持ちになりやすい職業と言えるでしょう。
離職の原因は様々だと考えられますが、燃え尽きてしまったがゆえに離職した人もいると思われます。超高齢社会に突入し、ますます人員が必要になる今、「訪問介護職の魅力を世間にアピールする」、そして「燃え尽きることがないよう、しっかりとメンタルケアをおこなう」ことが求められていると言えます。
本誌では、様々なメンタルケアの方法を具体的に紹介しています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン 第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/フジサワミカ