利用者の生活に最も近い介護サービスを提供する訪問介護職だからこそ知っておきたい医療の知識をお届けします。第4回は、生活の一部でもある排尿に関するトラブルを取り上げます。
排尿のトラブルにかかわるときの3つの視点
排尿のトラブルに対応する際、ホームヘルパーは次の視点をもちましょう。
【視点1】
利用者本人やその家族が「つらい」「困った」と感じたときに解消するための対応をとる
【視点2】
排尿に関するトラブルは「高齢だからしょうがない」と諦めてしまっている人が多いので、ホームヘルパーが変化に気づき、医療職へとつなげる
【視点3】
他人に相談しづらいと感じる人も多いため、さりげなく接する気遣いを忘れずに
トイレを気にするあまり、水分摂取を控えてしまう利用者がいますが、脱水状態を引き起こす原因になります。服薬中の利用者の場合、脱水状態になると薬の血中濃度が高まり薬の作用が強くなるため、副作用が生じやすい危険があります。水分はきちんととることが大切です。
用心しすぎて、尿意のないときに早めにトイレに行くことが習慣化すると、尿を溜める膀胱自体が小さくなり、十分に溜めることができなくなります。尿意は膀胱の容量の約半分溜まったときに感じ始め、波があるもの。その波のピークにトイレに向かうと、間に合わないことも増えますが、少し待てば尿意が落ち着くことも多いものです。利用者に合った対応をしたいですね。
排尿日誌を本人や家族に提案してみましょう
排尿日誌は、排尿状況やパターンを知るためにつける記録です。利用者の排尿パターンを知り、排泄誘導やおむつの交換時刻などの目安を決める際などに役立ちます。本人や家族の手間や負担も増えることなので、まずは1日だけでも記録してみることを提案してみましょう。
堀 美智子
薬剤師。帝京大学薬学部医薬情報室を経て、1998年医薬情報研究所/(株)エス・アイ・シー設立に参画。現在は医薬情報部門責任者。東京・八王子「公園前薬局」店頭にも立ち、生活者の視点から医薬情報を発信している。著書に『介護職必携!お年寄りの薬おたすけブック』(メディカ出版)、『処方せん・店頭会話からの 薬剤師の臨床判断 』(じほう)などがある。