介護職のみなさんは、利用者が安心して介護を受けるために「接遇」が大切だということを理解し、日頃から意識していることと思います。すでに何度も研修を受けた人も多いでしょう。「傾聴」についても同様だと思いますが、よく知っているつもりでも、改めて学んでみると新たな発見があります。今回は演習を中心に、利用者が心地よいと感じるコミュニケーションの基本である「傾聴」を一緒に考えましょう。
「傾聴の姿勢」を作る基本として、アメリカのイーガン氏が提唱したSOLER(ソーラー)理論をもとに学んでいきます。この人には話がしやすいな、と利用者が感じる雰囲気を作り出すのは、言葉や環境だけではなく、介護職の態度も大切な要素。傾聴する時の動作として心がけると、相手を大切に思う気持ちが伝わり、利用者が話しやすい雰囲気につながります。それがSOLER(ソーラー)理論。
S(Squarely)
O(Open)
L(Lean)
E(Eye Contact)
R(Relaxed)
の頭文字をとったものです。相手とまっすぐに向き合い、開いた姿勢で、視線を合わせて、リラックスして……という意味が含まれています。具体的には、それはどういう姿勢でしょうか?
本誌では、実際にその姿勢を取ったり取られたり、を体験できるように2人1組でのワークショップを提案します。視線の高さ・距離・位置などを、お互いに「利用者」「ホームヘルパー」になって演じてみます。見るのと体験するのには明らかな違いがあります。ぜひ誌面に沿って演習をして、感じてみてください。
監修/柏瀬美奈子
ヒューマンライフケア株式会社・管理本部 人事部人材開発担当部長(マネジャー)。介護福祉士。施設介護、訪問介護などの職を経て、企画・業務開発などに従事。これから「介護」を目指す人の熱い想いを支え、その教育・研修を提供することで、地域・社会への貢献を果たしている。
イラスト/尾代ゆうこ