上のイラストの利用者を見て、あなたならどんな「自立支援」ができると思いますか?
この利用者は、脳梗塞の後遺症で左半身麻痺。移動や更衣、排泄など全面的に介助を要する状態です。意思疎通は、発語が不明瞭なため難しいですが、認知症ではありません。歩行が難しいため入院中はおむつを着用。訪問リハを利用して歩けるようになりたい、という本人の希望があります。
自立支援とは、「介護という技術・手法を使って、利用者のできることを奪わずに、その人の状態をよくしていく支援」です。では、介護職としてどんな支援ができるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
入院中はおむつを着用していたので、自宅に帰ってからも安全を優先してそのまま継続、という現状維持の介護とも言われる「やってしまう介護」。それに対して「利用者がこうありたい」という希望に目を向け、その目標に向けて介護職が支援していくのが「自立を支援する介護」です。この場合は、「トイレに歩いて行けるようになる」という自立に向かうべく、そこまでの道筋を考えて支援するのが介護職であり、アセスメントであり、その先に見えるのが自立という目標への道です。
誌面では、アセスメントの目的、そこに至る課題の分析、解決するための支援と工夫、を積み重ねていく過程を考えます。
監修/小平めぐみ
国際医療福祉大学大学院 准教授。医療福祉経営専攻 先進的ケア・ネットワーク開発研究分野。1997年より医療法人・社会福祉法人にて介護職として勤務。2009年より居宅支援事業所介護支援専門員として勤務。2011年より現職。一般社団法人日本自立支援介護・パワーリハ学会理事。
イラスト/タナカユリ