高齢者虐待、と聞いて思い浮かぶのは、どんな場面でしょうか。
叩く・傷つける、などの身体的虐待、言葉などによる心理的虐待、自尊心を傷つける性的虐待、介護や世話の放棄・放任(ネグレクト)、必要な金銭を渡さないなどの経済的虐待、などを思い浮かべる方が多いと思いますが、上にあげたセルフ・ネグレクトも、近年注目されている「虐待」のひとつの形です。
「セルフ(自分自身への)」+「ネグレクト(放棄・放任)」という意味から想像できるように、自分自身による行為であり、法的定義がされていないため、支援を必要とする状況であっても強引に介入できないことが、問題の解決を困難にしています。
具体的な例としては
- 個人衛生の悪化(入浴や洗顔をしない、汚れた下着を身に着けたまま、など)
- 環境衛生の悪化(片づけや掃除をしない、ゴミを捨てない、など)
- 健康行動の不足(薬を飲まない、介護保険サービスを拒否する、など)
- 不十分な住環境の整備(窓ガラスなどの破損を放置する、など)
などがあげられます。
このような状態の高齢者に対して支援をおこなうためには、どう考えて取り組めばよいのか? 実際に訪問介護が入った例は? 具体的にどうすればいいのか? などを誌面で一緒に考えていきます。詳しくは『へるぱる 2024 9・10月』をぜひご覧ください。
監修/岸 恵美子
東邦大学看護学部/公衆衛生看護学研究室/大学院看護学研究科 教授。看護師、保健師。日本赤十字看護大学大学院博士後期課程修了。看護学博士。東京都板橋区・北区で16年間保健師として勤務した後、自治医科大学講師、日本赤十字看護大学准教授、帝京大学大学院医療技術学研究科看護学専攻教授を経て、2015年より東邦大学教授。高齢者虐待、セルフ・ネグレクト、孤立死を主に研究している。