基本的に介護の現場は、倫理観の高い方が多い職場です。「倫理・法令遵守」の研修というと、つい「法を守ろう」「倫理観を高めよう」という意識にとらわれがちですが、『へるぱる 2025 1・2月』では、少し肩の力を抜いて「これは意識していなかった」「ここが抜けていたかも?」という視点で見直しています。
そこで、改めて「人権」について考えてみましょう。
要介護状態で思うように活動ができなくなった利用者の場合、自由や尊厳などの人権が損なわれるような状況になることも少なくありません。「福祉」は日本国憲法で規定された人権を具体化したもので、私たちの仕事は利用者の人権を保障するものです。
利用者への人権侵害にあたる行為の例として、
- 呼ばれても無視をする
- 無理やり食事を口に入れる
- 人前でおむつ交換をする
などが挙げられます。安全性や些細なことに気を取られているうちに、大事な「利用者の人権を守る」ことを忘れてしまったり、後回しにしてしまったりしないように注意しましょう。
本誌では他にも具体的な例を挙げ、考えながら学べるよう、ワークショップも用意しています。ぜひ研修資料としてお役立てください。
監修/小林知久
イコール在宅ケアサービス代表。早稲田大学在学中に資格を取り現場に入る。2002年、24歳で母親と創業、現在東京都内4拠点で訪問系事業を運営。事業所のICT化・業務改善を徹底し80歳までの全介護員がビデオ会議できる体制を実現。また弁護士の弟と連携して法リスクに強い介護業務を実践。そのノウハウをもとに名古屋市社会福祉協議会の人権倫理研修、カイポケセミナーなど、各種研修・セミナーの講師を務める。
イラスト/さいとうかこみ