要介護状態の高齢者にとって、身体の状態がどんどんよくなる、若返るというのは簡単なことではないかもしれません。しかし、口の中は、適切なケアをすれば状態が劇的に改善し、“若返る”こともできます。それは本人にとってだけでなく、介護者にも大きなメリットがあります。
そもそも口腔ケアとはどういうことでしょうか? 口腔ケアは、衛生面のケアと機能面のケアに分けることができます。
●口の中の衛生状態を改善する
最大の目的は、病原細菌を除去すること。じめじめして生温かい口の中は細菌にとって居心地のよい環境であり、放っておくと病原細菌はどんどん増え続けます。歯周病菌は全身の様々な病気と関わりが深いため、病気の予防にもつながります。
●機能を改善・維持する
「食べる」「話す」といった口腔機能を改善・維持するためのケアで、加齢によって食べられなくなってきた方、脳梗塞の後遺症で麻痺がある方など、個々の状態に応じておこないます。
『へるぱる 2025 1・2月』では、実際に訪問介護の現場で口腔ケアを行うときのポイントを解説します。その際、使用する道具として監修の伊東先生のおすすめは、歯ブラシよりも「スポンジブラシ」。衛生的・痛くない・乾燥せず潤う・除去効率が高い・筋肉のストレッチにもなるなど、メリットがたくさん。スポンジブラシの使い方も詳しくイラストでお伝えします。ぜひ、事業所内研修の資料としてご活用ください。
監修/伊東材祐
訪問歯科医師。歯学部卒業後、大学病院付属の特殊機関で歯周病、かみ合わせ、最先端の義歯治療、歯内療法、オーラルリハビリテーションなどの先進医療を一流の歯科医師陣に学び、在宅医療を専門とする歯科医院を開設。累計7万回以上の訪問診療に従事し、専門的口腔ケアの向上を推進している。医療法人理事長。合同会社ジェネラス代表。
イラスト/ササキサキコ